【海外企業】シンプル化が進むロゴのリブランディングとその理由

企業ブランデイング

2021年は世界的大企業のリブランディング、さらにロゴのリデザインが多く行われた年でした。ロゴをリデザインする理由には、様々な理由があります。例えば、事業の拡大、新規事業の開始、イメージ革新など、「自社の社会的ステージの変化」と「社会状況」を見合わせて行われます。

そこで、今回は私たちの生活の中でもよく見かける海外企業のリブランディングやロゴのリデザインについてご紹介します。

企業ロゴが持つ機能

そもそも多くの企業や製品がロゴを持っているのは、ロゴには意味があるからです。大企業であるNTTは、ロゴの制作に1000万円かけています。もちろん高い金額をかけたからといって、必ずしもいいロゴができるというわけではありません。しかし、どのような業態であってもロゴマークを持つことに価値を感じていることは確かです。

①企業・商品の認知度を高める

例えば、コーヒーを飲むとき、スターバックスのマークが印刷されたカップと、何も印刷されていない無地のカップとでは、どちらで飲みたいと思いますか?おそらく全く同じコーヒーだとしても、スターバックスのマークが印刷されたカップを選ぶ人が多いのではないでしょうか?

これは何もスターバックスが有名だからという理由ではありません。私たちは、ロゴマークという企業や商品を象徴とするものを掲げられることで「信用」を感じ取っているのです。

②企業のイメージ形成

良いロゴデザインは、自社の商品やサービスを求めている人の心に強く響く効果があります。スピード感や力強さ、繊細さややさしさなど、自社の持つアイデンティティをロゴデザインに込めることができれば、その価値観に共感する顧客の目に止まります。

このような価値観を共にする企業と顧客がつながり、その輪が広がる事で、過度なPRをすることなく自然と企業のイメージを形成することができるのです。

③印象に残りやすい

あなたも「会社名はよく知らないけれど、このロゴマークは見たことがある」というブランドがあるのではないでしょうか?
なぜなら、人は言葉より図形の方が認識しやすいため、記憶に残りやすいのです。そのため相手の頭の中では、ロゴマークを覚えてもらうことで「〇〇=この企業・商品」という紐付けができるのです。

④社員との意識共有

ロゴマークをリデザインする際、自社の沿革を振り返る機会を持つことができます。この振り返りを通して、現在自社が得意とする事業分野に行き着いた理由を、ブランドストーリーとして社員と共有することができます。社員は会社の成り立ちを、それぞれの時代背景や業界の変化を通して知ることで、自分の仕事に自信や誇りを持つことにつながります。

また、社員が商談先で名刺交換をした際の話のきっかけの一つにもなるでしょう。

企業のロゴマークの寿命は早くて10年、商品やサービスでは、3〜5年と言われています。ただし、全部を一新するのではなく、ブラッシュアップをかけてリデザインするという方が正しいでしょう。ここではロゴデザインのリニューアルをする効果について紹介します。

2021年ロゴをリデザインした企業

ファイザー

コロナワクチンの製造で一気に知名度が上がった製薬企業大手のファイザーも、約70年ぶりの企業の大幅なリブランディングに取り組みました。その中でも12年ぶりにロゴのリニューアルを行っています。

ファイザーは創業以来、青い錠剤の形のモチーフの中に企業名を配置した、ロゴタイプでしたが、今回の新しいロゴには「シンボル」が加わりました。このシンボルは、医薬品開発によって生み出される錠剤の形を分解し、化学やDNAを彷彿させる二重らせん構造をモチーフにしているそうです。

ロゴタイプも以前の丸みのあるデザインから、シャープでフラットな印象になりました。

また今回のリブランディングの発表では、動画でのコンセプトの紹介も行っています。こういった紹介手法は、様々な業種普及していますね。

Pfizer's DNA
Pfizer Rebrand — Sabri Akın
︎ ︎Type Branding, Identity Design ︎Year January,...

ボルボ

北欧スウェーデンの自動車メーカーであるVOLVO(ボルボ)のロゴマークは、♂マークが有名ですよね。この[♂ ]マーク、雄のイメージがありますが、これは「鉄」の意味を持つ「アイアン・マーク」と言われるものです。ボルボの創立当時、スウェーデン製の鉄は品質が大変優れ「頑丈で信頼性が高い」というイメージで知られていました。そこでこのスウェーデン製の鉄のイメージを生かして、耐久性や品質、信頼性を表現するために用いられたのが[♂ ]マークでした。

そして2021年に行われたロゴのリデザインは、メタリックな要素も削ぎ落とされ、これ以上なくシンプルなデザインに洗練されています。これは、NISSAN, VW, BMWなど最近ロゴのリブランディングを行った自動車会社にも同じような傾向が見られます。

・電気自動車(EV)への注力
・車だけではなく、モビリティーカンパニーとして転換
・デジタルチャンネル強化
・エネルギーだけでないクリーンな生産

電気自動車への事業展開や、革を使わないリサイクル素材を使用した持続可能なブランドを目指しています。そして、特に車だけではなく、持続可能なモビリティーカンパニーとしての転換を、消費者に大きく印象付けるために今回のリブランディングは大きな意味があったと考えられます。

バーガーキング

アメリカに本拠地を持つバーガーキングもロゴだけでなく、パッケージや制服までトータルにリブランディングを行いました。

しかし面白いのが、今回の新しいロゴは70~90年代に使用されていた2代前のロゴをブラッシュアップしたものだと言うことです。1999年に導入された以前のロゴを「青い食べ物はない」「バンズは光らない」と言う理由などから、要素を削ぎ落とし1970年代、80年代、90年代に使用されていたフラットなロゴデザインをブラッシュアップしたものを採用しました。

Burger King
Burger King
https://jkrglobal.com/case-studies/burger-king/

暖かい色味や、どこか懐かしさを感じるフォントからバーガーキングの遊び心を感じますね。

ロゴデザインのリニューアルをする効果

社外へのポジショニング

ロゴデザインよって企業のキャラクターを示すことができます。相手は、ロゴマークを通して、あなたの会社の持つスピード感や着実生、親やすさと高級感、グローバルと地元密着などの特質を直感的に感じ取ることができ、業界や社会において自社のポジションを示すことができるのです。

社内での方向性がクリアになる

ロゴマークのリブランディングを通して、自分たちの会社がどのような顧客に、どのようなサービスを提供するか、そして企業が将来の目指している方向性を見直す絶好の機会を得ることができます。そして「企業の目的」が改めて目的になった事で、今まで苦戦していた社員と経営層との目指す方向性の共有がしやすくなります。

社内でロゴマークを日常的に目にできるよう工夫をすることによって、自分たちの仕事の目的を日常的に意識することができます。これは大企業より中小企業の方が早く効果が現れるでしょう。

ロゴがシンプルになる背景

今紹介した3社以外にもロゴマークを変更している企業は多く存在します。これはただ単にデザインの流行という事ではなく、世界の変化が背景にあるからです

デジタルデバイスの普及による時代の変化

ロゴデザインにも、レスポンシブ対応が求められるようになりました。レスポンシブとは、パソコン、タブレット、スマートフォンなど、異なる画面サイズの幅を基準にWebサイト表示を柔軟に調整し、見やすく最適な表示にすることを指します。

日本のスマホ普及率は約87%と言われる現代において、ロゴデザインもレスポンシブを意識することはとても重要です。なぜなら、14インチのパソコンと6インチのスマートフォンと見るときにでは、画面の大きさだけではなく縦型と横型といった違いがあるからです。

例えば、
●パソコンでは、
 ロゴマーク+会社名のタイポグラフィ
●タブレットでは、
 会社名のタイポグラフィのみ
●スマートフォンでは、
  ロゴマークのみ
●パソコンやタブレットでのファビコンでは、
 (Webブラウザでページを開いた際にタブの左上に表示されるアイコン)
 ロゴマークのシンプル版


このように様々なデジタルデバイスに対応できる「ロゴのセット」を、バリエーションとして持っていることで、閲覧者に情報を見やすく提供することができるのです。

必要なものに着目するミニマルな時流

昨今のウイルスの蔓延によって、消費者の自分の生活を見つめなおす傾向は高くなりました。何かを選択するときに「果たしてこれは必要?」と問うようになり、豪華や華美なものに対して違和感を抱くようになりました。この流れは企業のシンボルであるロゴマークにも当てはまります。

企業フェーズの変化

一般消費者のニーズの変化とともに、企業も変化します。さこの記事を読んでいるあなたの会社でも、世間でSDGsやダイバーシティに対する認識が浸透する中で、従来の主力商品も少しずつ変化をしているのではないでしょうか。今までとは変化した価値をもたらす商品やサービスを扱うことは、企業のフェーズも変化させます。そのため、会社のフェーズに合わせてふさわしいロゴデザインが必要となるのです。

まとめ

今回紹介した以外にも、直近でリデザインを行った会社やブランドのロゴの多くは、以前よりシンプルなデザインになっています。しかし、それらは偶然やただの話題作りのための施策ではなく、先に述べたような共通した理由があります。そして、シンプルすること複雑なデザインを構成することの何倍も難しいものです。

スティーブ・ジョブスもシンプルにすることに対してこのような言葉を残しています。
「シンプルにするっていうのは、複雑である事よりずっと難しい時がある。物事をシンプルにするためには、懸命に努力して思考を明瞭にしなければならないからだ。でもやるだけの価値はある。一度そこに到達できれば、山をも動かせるからだ。」

また、ロゴに使用する要素を減らすことは、環境への配慮だけでなく、業務での革新・新しい物事への柔軟性を示すメッセージを送ることにつながります。それは、持続性のある企業・ブランドである認識の共有にもなります。

一人一人が肌で感じている消費の変化は、SDGsの浸透や企業が個々に行うダイバーシティ的な取り組みによって着実に世の中に変化をもたらします。

ブランドアイデンティティにまつわるコア部分の変更は、時間やパワーなどの大変な作業です。しかし、近い将来に、自社のポジショニングを整えたい場合は、効率の良い施策の一つですね。


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